vol.36-② 良い場所を作ろうとすることが虐待を生む?
- 2021年10月21日
- 所長の学び
こんにちは。
イロハニトイロで所長をさせていただいている金村です。
前回、虐待を生み出しているのは管理者であり、この僕だという話をさせていただきました。
本来、人の役に立ちたい、困った人を助けたい、そんな温かな思いを持った方々が福祉や医療の道に進むのに、そこで虐待をしてしまうことがある。
それはその人自身の問題ではなく、その環境を作っている管理者が実は原因なんだ。
研修では、だからこそ虐待のない環境や組織作りをしよう、となるのですが、僕の考えていることはちょっとそことは違う。
虐待の無い環境や組織作りをしようとすることが虐待を生んでいく、そんなことを話したいと思い、書かせていただいています。
そして今回はその続きです。
今回は、僕の考えをできるだけ言葉にしようと思います。
つまり、本来心優しく、人助けをしたいという慈愛を持った素晴らしい方々を虐待に走らせるのは、スタッフ自身が「弱みを出せない」ということに最大の原因があると僕は思っているんです。
❶ 失敗すると責められる環境。
❷ ちょっとした不安なことを相談できない環境。
❸ 決められたとおりにやらないといけない環境。
❹ 他のスタッフに迷惑を掛けないようにしようという環境。
❺ みんなが同じ意見になろうとする環境。
❻ 上司が能力を評価する環境。
それら全てが「虐待」や「いじめ」を生み出す環境となってしまっていると僕は思うんです。
ということは、これらの環境を管理者が壊していくこと。
つまり、管理者が見本となって、
たくさん失敗して、
たくさん同僚に相談して、
たくさん同僚や利用者さん(患者さん)から教えてもらって、
たくさん決まりを破って、
たくさん同僚に迷惑をかけて、
たくさん人と違うおかしな意見を言って、
たくさん弱さを出して、
たくさん間違いを認めて、
たくさん謝って、
たくさん恥かいて、
たくさん感謝していくこと、
だと思うんです。
そして、優劣を付けるような評価ではなく、その人それぞれの特性を尊重する色分けが大事であり、
そのそれぞれの違いがお互いにとってプラスになるという、協力関係を作っていくことが大事だと僕は思うんです。
(かなり理想的なことを言っていますが、それってこちらの姿勢次第で簡単に作れると僕は信じています。)
それが、「虐待」や「いじめ」をなくす方法だと今の僕は強く思っているんですよね。
そういう意味で、
「管理者が虐待を生み出している」
と言っているのです。
「はぁ?何言ってるの?!」って感じですよね。
「そんな組織あるかい!」
「そんなことしてたら業務まわらないわ!」
って思いますよね。
やってみるの怖いですよね。
❶ ~ ❻をもう少し詳しく説明してみます。
❶ 失敗すると責められる環境
「失敗する(事故を起こす)」とたいてい事故報告書(レポート)を書かされたり、上司から指導を受けます。
そして同じことが起こらないようにどうすればいいのかを考えさせられます。
つまり「失敗=悪」だと決めつけられています。
「反省」は良いことだとして、強制的に求められています。
「怒られたくない」「自分の評価を下げたくない」「面倒なことになりたくない」
そう思うから僕らはそれが起こらないようにいつも心が緊張してしまうし、起こった時にはなるべく隠そうとしてしまいます。
だから、物事が大きくなってから発覚したり、取り返しのつかない大ごとになってから騒ぎ出したりします。
あれ?
事故報告書や反省や指導は本当に必要なんでしょうか?
僕は逆だと思うんです。
だって本人が一番反省しています。
「やっちゃったー」って傷ついています。
もうそれで十分。
きっととても反省しているし、後悔しているし、落ち込んでいます。
なら周りの人間は、
「大丈夫だよ」「むしろあなたの失敗で助かったよ」「あなたの失敗のお陰で学べたよ」「ありがとう」
と言ってあげられることが大切だと思うんです。
そんな環境だから、心が穏やかになり余裕が持て、失敗を恐れず挑戦し、失敗してもちゃんと認めることができると思うんです。
失敗したときこそ、その学びを一緒に話し合える、
そしてお互いの理解も気持ちを近づけることができる絶好の機会だと僕は思うんですよね。
と言いながら、僕も失敗や間違いを認めて、公開するのには勇気を必要とします。
でもそれができると、必ず周りは温かく受け入れてくれるし、自分の気持ちも軽くなるのを日々実感しています。
という感じで、今後も書いていきます。
今回も長くなってきたので、❷以降は来週に回したいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
イロハニトイロ所長
金村栄治